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エビ

  • 執筆者の写真: Momoyo
    Momoyo
  • 2021年7月15日
  • 読了時間: 3分

エビグラタンが好きでした。子供の頃、誕生日になるとリクエストして母が作ってくれたお料理。子供心に「一体どこの国の食べ物だろう、グラタンって何語なんだろう?響きが美味しそうな良い名前だな〜」と思っていました。それは6月で、大体膝ぐらいまでの洪水が起こる梅雨の季節でした。湿度も気温も高い時に、家族5人分のエビグラタンを調理してくれた母には感謝しなければいけません。


私の今住んでいる国はエビが特産です。仏語圏なので、グラタンが仏語で「溶かして焦した」という意味だともわかりました。しかしながら、エビグラタンはレストランに滅多にありません。メニューに「マカロニ・グラタン」があったら、それはハムとチーズ。マカロニってイタリアだよね、、、などと深く考えることはせずに、ベルギーやヨーロッパ各地の洪水のニュースを見ていたら(信じられない。被害者の方のご冥福をお祈りします。びっくりして、激しく衝撃を受けつつ)。。。なんだかエビグラタンが食べたくなってしまいました。


私は傘をさしてスーパーへ行き、エビを1パックと、小さめのマカロニを一袋購入しました。台所に立つと、タイの細麺を水で戻して忘れていたのを思い出し、エビは卵と一緒ににゅうめんに使われました。桃色エビは茹でてあるものを買って、麺の上に置き、お汁をかけるだけにしたので、煮すぎることもなく、ぷりぷりでおいしかったです。


今日になって、さらに激しく雨が降り続ける中、よしグラタン再チャレンジだ、と思い、玉ねぎとカブを薄く切ってベーコンと炒め、小麦粉とアーモンドミルク(無糖のもの)を入れて、茹で上がったかわいい小さなマカロニと合わせ、粉チーズと細かいパン粉にバターの破片を散らしてこんがりグラタンを焼きました。降り注ぐ雨を見ながら食べるグラタンはエビではなかったけれど、久しぶりでおいしかったです。


カブのグラタンはほんのり甘苦くて、エビに負けないぐらい美味しい。でもエビをグラタンにしてしまう贅沢、あの、火が入り過ぎてしまったら美味しさが半減してしまうような食材を、わざわざ溶けて焦がしたパン粉の下に潜ませる危険を犯すスリルは全くありません。


本当に美味しくできたかな?と最後まで悩む、エビの使い方は、こうして考えるとベルギーの場合茹でて売ってある「そのまま」が多いです。トマトの上半分を切り落としてフタにし、中をくりぬいたトマトに茹でエビのマヨネーズ和えを入れたトマト・クルヴェット(=エビくんたち)、シコン(=エンダイヴとも言う、白い巨大なミョウガみたいな野菜)の葉っぱ一枚一枚をボートに見立てて、中にドレッシングであえてシブレットを散らしたエビくんたちを乗せたオードブル、など。


その時、なぜこんな長い間、自分の誕生日の好物だったはずのエビグラタンのことを忘れていたのか急にわかりました。


ベルギーには秘密兵器があった。


エビクリームコロッケです。


中に入れるエビは、少しだけ酸味があって歯応えがきしきしする、とても小さな灰色エビで、グラタン用のピンク色でぷちぷちする水分の多いエビとは違うものです。誕生日のたびに、誰かがどこかのお店でテイクアウトして誕生日プレゼントにくれるぐらい、私が「エビコロッケを好きだ」と言うことは友人間では知られているようです。私は言いふらしていないのですが。


洪水の季節、いつの間にかコロッケがグラタンを引き継いでいたのでした。エビくんは夏に水揚げされるのでしょうか?私は牡蠣アレルギーですが、美味しいエビは、今も昔も食べられて幸せです。


ベルギーに来ることがある方で、エビグラタンが好きな方は、レストランでぜひCroquettes de crevettesも試してみてください。パセリの丸揚げがついてきて、それも大変美味なのですよ!


桃代

(エビコロッケの写真を「写真アルバム」から見つけ出すことはたやすい。毎年6月を探せば出てきます。この写真は2020年に誰かがテイクアウトして自宅で揚げてくれたもの)



 
 
 

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