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お太鼓

  • 執筆者の写真: Momoyo
    Momoyo
  • 2021年7月11日
  • 読了時間: 3分

お太鼓とは、帯の結び方のことです。四角く、背中に乗っかったような帯結びです。

太鼓の模様が描かれている帯で「太鼓のお太鼓」を装うこともできます。

実際、太鼓を担いでいるように見えるから、お太鼓結びというのでしょうか?


私はネットショップで、楽器の柄の帯を探していました。特に、琴。琴の柄、筝の柄、どちらも存在します。琴柱のある方が13絃の筝で、無い方が7絃の琴です。琴柱だけの柄の着物も見たことがあります。


太鼓と笛は、帯の「お太鼓柄」(背中にぼーんと一つだけ大きく出る絵がついている帯のことです)に一緒に描かれていることが多く、筝と笙は、着物の中でも付下げと呼ばれる着物の、打ち合わせの表側の下の縁に刺繍などで一緒に配されていることが多い印象です。


さらに、巻物や紐の柄は曲線でエレガントな模様を足すことができるからか、楽器の柄の周囲に置いて、楽器の重い感じを和らげているように見えます。


楽器柄として、太鼓(=つづみ)の良いところは、もともと紐がついている作りになっていることです。紐がくるくると周囲に舞うような柄が多く、太鼓の皮を貼った部分の硬さと良いコントラストになっています。もしも太鼓に紐がついていなかったら、ここまで着物や帯の柄にならなかったかもしれません。


琴や筝にも紐が絡んだように描かれたものもありますが、絃が切れたように見えると困るからか、太鼓に比べると周囲は控えめです。切れた絃が美しく周囲に舞うお琴柄の着物があっても、それはあまりにもおめでたくない。


笙の柄は竹の管が並ぶ様がまるでパイプで、銀糸で刺繍してある物など、小さなパイプオルガンに見えます。笙の柄の帯は、滅多に見ません。


春の初めに、とうとう好きな感じの楽器柄の名古屋帯を見つけて、一点購入しました。名古屋帯というのは、名古屋の着付けの先生が考案したといわれる、比較的、短く軽く結びやすい帯のことです。演奏会で小さなオルガンを弾く時用、という将来の設定をして買ったのです。


(上左に琴、上真ん中に太鼓、右下に笙が見えます)


昨年の夏から今年の夏に延期になった、地上置きの大きいポジティフ・オルガンで頼まれていたリサイタルを、茶色いちりめんの単衣に楽器柄の帯で弾いたらお客さんに喜ばれるかなと考えました(最初の写真はその練習に着てみた時のものです)。お客さんは、地上に置かれたオルガンの演奏中、弾いている人の後ろ姿をずっと見ていることになるので、帯というのはちょうど良いのではないか、と。


ところがいざ再依頼のメールが届き見てみると、教会の後ろに設置された大オルガンを弾くことに変更になっていたのです。小さいオルガンの周囲に人が密集することを防ぐためのコロナ対策の一貫ということなので、残念ながら昨年出したプログラムはルネサンスもの中心で、大きい楽器に合わないということでバッハのトリオ・ソナタなど、ペダルもたくさん弾くプログラムになりました。


ペダル付きの曲では着物の下半身がはだけてしまうので、袴でも付けない限り無理そうです。それも、馬乗り袴のような二つに分かれているタイプの袴が必要になり、女性用はなかなかありません。この冬まで「普通の女学生風の袴は二股に分かれていない」ということすら知らなかった私には、楽器柄の帯をお太鼓結びにしてオルガン演奏する日は、まだまだ遠いみたいです。


お茶の席で茶筅やお茶碗の柄の帯や着物を身につけることは野暮とされているらしく、私もオルガン・リサイタルでパイプオルガン模様の衣装を着るか?と訊かれたら絶対着ない、と確信を持って答えます。


流石にそれは恥ずかしいです。


じゃあ太鼓柄は?お琴柄は?その格好で、コンサートを弾くのはどうして平気なのか?と訊かれたら、うーん、まだよくわかんないな、というのが本音です。


着物を着て演奏する機会が、まだ巡って来なくて助かった。

桃代
















 
 
 

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