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赤すぐりジャム

  • 執筆者の写真: Momoyo
    Momoyo
  • 2021年8月7日
  • 読了時間: 5分

赤すぐりの可愛い実の収穫が始まりましたが、我が家の赤すぐり、グロゼイユは今年は実がなりませんでした。さくらんぼの木が大きくなりすぎて、赤すぐりは日陰になったのです。このさくらんぼの木はグリオットという北の地方でも元気に実をつける種類で、家の庭はそこまで大きくはないので、最高でも150センチの高さまでしか成長しない、と書かれた小型の苗を買ってきて植えたのです。それなのに、壁に囲まれた街なかの庭のせいか、桜は日光を求めてすくすくと巨木に成長してしまい、周辺に植えたものはことごとく実らなくなってしまいました。


低木のもみじも庭に植えていましたが、さくらんぼの木と競うように大きくなり、ガーデンテーブルを置くところにも枝が茂っていきました。ある年、決意を固めて本屋さんへ行き(とりあえずいつでもまず本屋へ行く!)木の種類別に図解で説明されている「枝の払い方」の本を買ってきて読みつつ11月になるのを待ち、恐る恐る剪定したところ見事に紅葉を枯らしてしまいました。彼は怒った。そういう感じの枯れ方でした。ごめんなさい。


その記憶がまだ新しくて、さくらんぼの木の枝をそのままのびのび育てていたら、この6月のさくらんぼの量は半端なかったです。さくらんぼは幸せである、ここで育ちたい、とそういうことなのだと私たちは諦めました。大量のさくらんぼを収穫する。それでいいじゃないか、と。今年は急激に暑かったし自粛明けの仕事量は半端なかったので(2年ぶりの音楽アカデミーの試験と娘の音大の卒業試験など)4メートルの巨大梯子収穫作戦を一家総出で行うことができず、気がついたらさくらんぼは全て鳥が食べていました。どおりで、鳥の歌がすごかったです。そういう年だった、と2021年をあとから思い出すことでしょう。私は下に落ちてきたのを多分10個ぐらいしか食べませんでした。


剪定の話とさくらんぼの話に熱が入り過ぎてしまいましたが、問題はグロゼイユです。この果物が実らないと我が家は困ったことになります。グロゼイユのジャムが何より大事だという人がいるからです。


来年への打開策として、11月にグロゼイユさんを根っこから掘り返し、大きい植木鉢に酸性の土と共に植えて、テラスの日当たりの良いところに引越しすることに決めました。ジャムの件は、実がないのですから仕方なく、今年はマーケットへ行って買ってきて仕込みました。


ようやくここで題名に話が及ぶのですが、ジャムと書いたのは言い方が日本語でよくわからなかったからで、これは仏語でジュレというもので、種と皮を全て取り除いた、半透明の赤いジュレです。仏語でコンフィチュールというのがジャムであると私は思うので、そちらは皮は残して一緒に煮たものです。


さて料理本では、ほとんどの場合、グロゼイユを煮た「後で」漉し器で漉すように書いてあります。私が買ってきたジャムの本でもそうだったので(また本屋さんに行った)その通り作ってみると夫の実家と同じ味にはなりませんでした。漉して取り去るとはいえ、煮た種と皮の味が入るからでしょうか。火傷しそうになりながら熱い果物を漉してせっかく作ったのに、美味しかったけれど別物でした。


私は朝、ジャムをあまり食べないため、主に夫と娘のために作るので、その味でないということは認められず、ドゥプレ家のグロゼイユ・ジュレの味を再現するのには結婚して25年かかったということになります。義両親が健在の頃は、そちらの実家で大量にみんなで作る習わしだったので、私は手伝っていましたが、自主的に作るとなるとなかなか難しいです。ある年は夫と娘が二人で作り、その時はうまく成功したのですが、生のグロゼイユの、タネがいっぱいあるのを、手でシノワを使って漉していくのがすごい重労働だったらしい。


今年は娘ももう同居していないので、少量を簡単に作ろうと決めて、本は見ずに、いろいろ思い出しながら作りました。「グロゼイユは酸っぱいから砂糖を同量にするんだよ」と言われたことなどなど。


そんなわけでブログにも記念に書き残します!


義両親の実家のような手動の「グロゼイユ絞り機」がないし、演奏会も迫っていて腱鞘炎になると困るので、電動のジュース絞り機を使ったやり方です。


1。グロゼイユを洗って、枝から全ての実を外し、白っぽく熟れすぎている物は取り除ける

2。果物・野菜ジュース用電動絞り機でグロゼイユを絞る

3。水を少し足して、さらさらした液体にする

4。種と皮は分離して吐き出されるので、それはコンポストへ

5。グロゼイユ液の量を測る

6。同量のペクチン入り砂糖を測る

7。熱湯を沸かす(沸いたらジャムの瓶と蓋とヘラを熱湯消毒する)

8。グロゼイユ液と砂糖をいっぺんに手鍋に空けて、火にかける前に混ぜながら溶かす(おおかたすぐに溶けます)

9。弱火で火にかけてスプーンで混ぜ続ける

10。砂糖のじゃりじゃりしたのが溶け切ったら、強火にする

11。怖いぐらい泡がぶくぶく立ちますが、恐れずに沸騰を5分きっちり続ける(中火から弱火にしながら)

12。そばに立っていると暑くなるけど、スプーンで混ぜ続ける

13。スプーン一杯の熱いジュレをすくって火傷しないようにお皿に垂らし、鍋の火は消す

14。冷凍庫にそのお皿をしまって30秒待つ

15。冷凍庫から出して指でジュレの表面を触り、しわが寄るぐらい表面に膜が出ると出来上がりの印なので、鍋に戻る

16。熱湯消毒した瓶にジュレを熱いまま入れて、すぐに蓋をよく閉める


次の日から食べられます。赤すぐり、グロゼイユを出荷する日本の産地はあるでしょうか。

桃代



 
 
 

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